歯がなくなったら起こりうる問題について

皆さんは抜けた歯をそのままにしていませんか?歯が抜けたまま放置していると様々な問題が起こります。 本日は歯がなくなったら起こりうる問題についてお話しします。

  1. 審美(形態)障害 

特に前歯がなくなると、口元や顔の外観に影響しますし、社会生活上大きな問題となります。 そこで、ブリッジや入れ歯で補う補綴処置が行われます。しかし、これらの補綴装置は完成するまでに時間がかかるので、テンポラリークラウン(仮封冠)や即時義歯がこのような審美障害を防ぐために行われます。また、唇や頬の筋肉などは歯があることによって支えられているので,歯をたくさん失いそのままにしていると、内側からの支持がなくなると、唇や頬が陥没し、口元のしわが目立つようになってしまいます。いわゆる”老人顔”のような見た目になってしまいます。

  • 咀嚼障害 

人間にとって噛むこと・食べることは栄養を摂取し生きていく上で最も大切なことです。 歯を失い、十分に咀嚼できず食べ物を適切な大きさで飲み込めなくなると様々な障害を引き起こします。 特に、咀嚼時大きな食物の切断は主に前歯によって行われるので、前歯が欠援すると食物の切断に支障が生じます。一方、小臼歯や大臼歯など白歯部が欠損すると食物の粉砕ができない、また唾液との混合・消化作用が十分に行われなくなります。このような咀嚼障害が発生すると、食物を十分に噛まないで大きいまま嚥下する結果、消化系の負担が増し胃腸障害を招くだけでなく、食物の消化や吸収能率が低下して、全身の健康にも影響します。特に、高齢者の丸呑みは喉が詰まったり、誤嚥性肺炎を引き起こしたりするため避けなければいけません。歯の欠損に伴って起こる咀嚼・嚥下の低下力は、少数歯の欠損でも影響が大きいと言われています。

たとえば大臼歯1本の欠損でも、天然歯がすべて揃った完全な歯列を有する者に比べて咀嚼・嚥下率は40~60%に低下し、ブリッジを装着していても、80%程度にしか回復できないといわれています。さらに無歯顎者(自分の歯が全く残っていない状態)ではたとえ総入れ歯を装着しても25〜30%にすぎないという報告もあります。

  1. 噛み合わせの変化

歯を失うと、噛む力が均等に分散されず、噛み合わせが変化します。その結果、周囲の歯に過度の負荷がかかり、歯の摩耗や破折のリスクが高まります。

  • 食事の制限

歯を失っていると、噛むことが困難になるため、食事の制限が発生します。硬い食べ物や食べにくい食材(りんごなど)を避ける必要があり、栄養バランスが崩れる可能性があります。

3. 話し方の変化

歯は発音に重要な役割を果たしており、歯を失うと話し方に変化が生じることがあります。特に前歯を失った場合、明瞭な発音が難しくなり、自信を失う場合もあります。

  • 外見の変化

歯を失うと、歯が抜けた部分が目立つため、外見の変化が生じます。特に前歯を失った場合、顔のプロポーションが変わり、笑顔や口角が下に向かってしまうことがあります。

  • 自信の低下

歯を失うことにより、見た目や話し方に影響が出るため、自信が低下することがあります。自分の歯の状態に不満を持ち、笑顔を控えたり、人前での発言を避けたりするようになる可能性があります。

  • 口臭の発生

 歯を失った場合、歯周病や口内の細菌の増殖が進み、口臭の発生がより一層悪化する場合があります。歯を維持することで、口臭を抑える効果があるため、歯の喪失は口臭の原因にも繋がる可能性があります。

  • 顎関節症のリスク

歯が失われると、顎の安定性に影響が及ぶことがあり、顎関節症のリスクが高まる可能性があります。顎関節症は、顎の痛みや不快感、開閉の制限などを引き起こし、日常生活に苦痛をもたらす可能性があります。

  • 心理的影響

歯を失うことは、美しさや自信に関わる問題であるため、それによる心理的影響も考慮しなければなりません。歯の喪失は顕著な変化であり、それに伴う悲嘆や自己イメージの低下、社会的な孤立感などが挙げられます。

以上が、歯を失うことによる主な影響とその具体的な内容です。歯の喪失は、口腔の健康にだけでなく、自信や生活の質にも大きな影響を及ぼすことがわかり非常に深刻な問題です。 患者さまのお口の中に応じた入れ歯や補綴物を入れることが大切であるとご理解いただけたでしょうか? 

「もっと深刻!歯が抜けたままにしておくと認知症のリスクが上がる」

歯が抜けたまま放置していると認知症のリスクが上がると言われております。 実際、神奈川県歯科医師会の調査によると、 自分の歯がほとんど喪失されており、さらに入れ歯を使用していない人は、”20本以上歯が残っている人の1.9倍も認知症の発生リスクが高かった”という結果が出ております。 歯が抜けたままであることと認知症との関連性について、以下のようにまとめることができます。

1. 噛む力の低下:歯が抜けたままであると、食べ物を十分に噛むことができず、栄養の吸収が不十分となります。栄養不足は脳の機能低下を引き起こし、認知症のリスクを高める可能性があります。

 2. 口内環境の悪化:歯が抜けたままであると、口の中の清潔さが保てず、口内環境が悪化します。歯周病や口腔内の感染症が起こりやすくなります。これらの状態は炎症反応を引き起こし、炎症物質が全身に広がることで認知症のリスクが増加する可能性があります。

  • 認知機能との関連性:歯が抜けたままであることにより、食事や日常生活動作の制限が生じます。これにより生活の質が低下し、うつ病などのメンタルヘルスの問題や社会的孤立が引き起こされることがあります。これらの要因は、認知機能の低下を招く可能性があり、認知症のリスクを増大させる可能性が考えられます。

以上のように、歯が抜けたままであることと認知症との関連性は、栄養不足やお口の中の環境の悪化、認知機能の低下などの要因によるものと考えられます。したがって、歯のケアや適切な義歯の使用など、口腔ケアを行うことは、認知症予防のために重要です。ただし、正確な関連性を明確にするためには、さらなる研究や調査が必要なのが現状です。

「自分のお口に合った補綴物について」 

患者さまの中には、「自分に合った補綴物がわからない」「先生にお任せします」とお声をいただくことがあります。 当院では患者さまのお口の状態に合わせた入れ歯のさまざまな選択肢をご用意しております。特に1日で仕上がるバネ付き入れ歯は、すぐに入れ歯を使いたい方、大切なイベントの前に入れ歯を使いたい方などにぴったりです。

また、バネのついていない入れ歯は審美面を気にされる方、人前に出るお仕事をされている方に選択されることが多く満足度も高い入れ歯となっております。

わからないことや、不安な点がありましたらお気軽にご相談ください。

まとめ

本日は歯が失ったことで起こる様々な問題についてお話ししました。 歯を失ったまま放置していると見た目だけでなく身体的にも影響を与えます。 当院では患者さまに合った入れ歯をご案内しております。 入れ歯についてのご相談はお気軽にお申し付けください。